生まれて数日、赤ちゃんの肌が黄色い——新生児黄疸の仕組みと「様子を見てよい黄疸・受診すべき黄疸」の見分け方
「生後2〜3日して、赤ちゃんの顔が黄色くなってきた」
「退院前に”黄疸があります”と言われたけれど、大丈夫なの?」
「母乳が原因かもしれないと言われた。母乳はやめたほうがいい?」
赤ちゃんが生まれて間もない時期に、多くのご家族が一度は耳にするのが「新生児黄疸」です。
出産後のお母さんは、まだ体が十分に回復していません。授乳が始まり、睡眠も細切れになり、「ちゃんと飲めているかな」「体重は大丈夫かな」と心配が尽きない時期です。そんな中で「黄疸の数値が少し高いですね」と言われれば、不安になるのも無理はありません。
まず知っておいてほしいのは、新生児の黄疸そのものは非常によくみられる現象だということです。多くは赤ちゃんが子宮の外の生活に適応する過程で起こる「生理的黄疸」で、自然に改善していきます。
一方で、ごく一部には、溶血・感染症・胆汁うっ滞などを背景とした早めの検査や治療が必要な黄疸があります。
大切なのは、「黄色い=危険」と考えることでも、「赤ちゃんの黄疸はよくあるから大丈夫」と決めつけることでもありません。
いつから黄色くなったのか、どのくらい強いのか、赤ちゃんの元気や哺乳状態はどうか、便や尿の色はどうか。こうした情報を組み合わせて判断することが重要です。
私は呼吸器内科医として働きながら、子育てをしている父親でもあります。小児科専門医ではありませんが、本記事では新生児黄疸について、2026年8月時点の医学的知見をもとに、できるだけ専門用語を減らして解説します。
なお、本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、個々のお子さんの診断・治療を行うものではありません。特に新生児は状態が短時間で変化することがあります。心配な症状がある場合は、記事だけで判断せず、出産した医療機関・小児科・産科へ相談してください。
目次
- 新生児黄疸とは?——なぜ赤ちゃんは黄色くなるのか
- 生理的黄疸——多くの赤ちゃんに起こる正常な変化
- 黄疸で本当に重要なのは「数値」だけではない
- 母乳と黄疸の関係——実は2種類ある
- 注意が必要な「病的黄疸」の原因
- 黄疸が脳に影響する「ビリルビン脳症」とは
- 黄疸の広がりを見るクラマー法
- すぐに医療機関へ相談したいサイン
- 黄疸が長引くときに注意したい「胆道閉鎖症」
- 治療の中心となる「光線療法」とは
- 黄疸があったら母乳はやめるべき?
- よくある疑問 Q&A
- まとめ
新生児黄疸とは?——なぜ赤ちゃんは黄色くなるのか
黄疸とは、血液中のビリルビンという黄色い色素が増えることで、皮膚や白目が黄色く見える状態です。
ビリルビンは、主に赤血球の中にあるヘモグロビンが分解される過程で作られます。
赤ちゃんは大人と比べて、そもそも赤血球の量が多いうえ、出生後には胎児期に使っていた赤血球が次々と入れ替わります。また、新生児の赤血球は成人の赤血球より寿命が短いため、出生直後はビリルビンがたくさん作られやすい状態です。
一方で、生まれたばかりの赤ちゃんの肝臓はまだ成熟途中です。
血液中にできたビリルビンのうち「間接ビリルビン」は、肝臓で水に溶けやすい形へ処理され、その後、胆汁として腸へ排泄されます。
ところが新生児では、
- ビリルビンが作られる量が多い
- 肝臓でビリルビンを処理する能力がまだ未熟
- 腸からビリルビンが再吸収されやすい
という3つの条件が重なっています。
つまり赤ちゃんの体では、
「ビリルビンがたくさん作られるのに、まだ十分な速さでは処理できない」
という状態が一時的に起こります。
その結果、血液中のビリルビンが増えて皮膚や白目が黄色く見える。これが新生児黄疸の基本的な仕組みです。

生理的黄疸——多くの赤ちゃんに起こる正常な変化
新生児の多くにみられる、病気を原因としない黄疸を生理的黄疸と呼びます。
正期産児では、一般的に次のような経過をとります。
- 生後2〜3日ごろ:黄疸が目立ってくる
- 生後3〜5日ごろ:ビリルビン値が高くなりやすい
- その後:徐々に低下していく
- 生後1〜2週間程度:多くは目立たなくなる
ただし、この経過には個人差があります。
特に早産児では、肝臓のビリルビン処理能力がより未熟であるため、正期産児より黄疸が強くなったり、長く続いたりすることがあります。
ここで非常に大切なのが、「黄疸がいつ始まったか」です。
出生後24時間以内に目に見える黄疸が出現した場合は、典型的な生理的黄疸とは考えません。
血液型不適合などによる溶血をはじめ、病的な原因がないか早めに評価する必要があります。
生後何時間・何日で出てきたのかが、とても重要な情報になります。

黄疸で本当に重要なのは「数値」だけではない
「ビリルビンが何mg/dLになったら危険ですか?」
これは保護者の方からすると、最も知りたいことの一つだと思います。
しかし、実際の新生児黄疸では、「○mg/dLを超えたら全員治療」という一律の基準では判断しません。
治療が必要かどうかは、主に以下を組み合わせて判断します。
- 出生後何時間たっているか
- 在胎週数
- 総ビリルビン値
- ビリルビン値がどの程度の速さで上昇しているか
- 溶血性疾患があるか
- 敗血症など全身状態を悪化させる病気がないか
- その他、ビリルビンによる神経障害のリスクを高める要因がないか
例えば、同じ「15mg/dL」という数字でも、生後24時間の赤ちゃんと生後5日の赤ちゃんでは意味が大きく異なります。
また、在胎40週で元気な赤ちゃんと、在胎35週で全身状態が不安定な赤ちゃんでも、治療を開始する基準は異なります。
このため、黄疸の数値だけをインターネットで検索して「この数字なら大丈夫」「この数字なら危険」と自己判断することはおすすめできません。

母乳と黄疸の関係——実は2種類ある
「母乳だと黄疸になりやすい」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
ただし、母乳と関連する黄疸には、大きく分けて2つのタイプがあります。
この2つは原因も時期も異なるため、分けて考えることが大切です。
① 哺乳不足に伴う高ビリルビン血症
以前は「母乳栄養性黄疸」「breastfeeding jaundice」などと呼ばれることがありましたが、現在では母乳そのものが悪いのではなく、十分な量を飲めていないことが問題という考えから、「suboptimal intake hyperbilirubinemia(哺乳不足に伴う高ビリルビン血症)」という表現が使われます。
多くは生後数日、母乳育児を確立していく時期に起こります。
赤ちゃんが十分な量を飲めていないと、便の回数が減ります。
すると、本来便とともに体の外へ出ていくはずのビリルビンが腸から再び吸収されやすくなり、血液中のビリルビンが上昇します。
このタイプでは、黄疸だけを見るのではなく、
- 授乳回数
- 実際にしっかり飲めているか
- 出生後の体重減少
- 尿の回数
- 便の回数
- 脱水徴候がないか
などを確認することが重要です。
必要に応じて、授乳方法の見直し、搾母乳、ドナーミルク、人工乳などによる補足授乳を検討します。
「黄疸だから母乳が悪い」のではなく、「赤ちゃんが十分な量を飲めているか」がポイントです。
② 母乳性黄疸(breast milk jaundice)
一方、しっかり母乳を飲み、体重も順調に増えている元気な赤ちゃんなのに、黄疸が数週間続くことがあります。
これを母乳性黄疸と呼びます。
多くは生後1週間以降に目立ち、生後2週以降も続くことがあります。
母乳性黄疸が起こる正確なメカニズムは完全には解明されていませんが、母乳中の成分や腸肝循環などが関係すると考えられています。
赤ちゃんが元気で、しっかり飲めており、体重増加も良好で、直接ビリルビン上昇などの異常がなければ、多くの場合は治療を必要とせず自然に改善します。
数週間続くことがあり、場合によっては生後2〜3か月ごろまで黄疸が残ることもあります。
ただし、ここには重要な注意点があります。
「母乳を飲んでいるから黄疸が長引いているのだろう」と自己判断してはいけません。
黄疸が長引く場合には、胆道閉鎖症・甲状腺機能低下症・感染症・溶血性疾患など、別の原因が隠れていないか確認する必要があります。

注意が必要な「病的黄疸」の原因
黄疸の中には、生理的黄疸とは異なり、原因検索や早期治療が必要なものがあります。

溶血性疾患
赤ちゃんの赤血球が通常より速く壊されると、ビリルビンが短時間に大量に作られます。
代表的なものとして、母児間のRh血液型不適合やABO血液型不適合などによる免疫性溶血があります。
また、G6PD欠損症など赤血球そのものの病気によって溶血が起こる場合もあります。
溶血が強い場合、ビリルビン値が急速に上昇するため注意が必要です。
感染症
新生児敗血症などの感染症でも黄疸がみられることがあります。
この場合、黄疸だけではなく、
- 哺乳が悪い
- ぐったりしている
- 体温が高い、または低い
- 呼吸の様子がおかしい
- 顔色が悪い
など、赤ちゃん全体の調子が悪くなっていることがあります。
皮下出血・頭血腫など
分娩に伴って大きな皮下出血や頭血腫があると、その血液が体内で分解される過程でもビリルビンが作られます。
そのため、黄疸が強くなる原因の一つになります。
胆汁うっ滞・胆道閉鎖症
黄疸というと「ビリルビンが高い病気」と一括りに考えがちですが、実はビリルビンには間接ビリルビンと直接ビリルビンがあります。
生理的黄疸や母乳性黄疸で主に増えるのは間接ビリルビンです。
一方、胆汁の流れが悪くなる病気では、肝臓で処理された後の直接ビリルビンが上昇します。
代表的な病気が胆道閉鎖症です。
胆道閉鎖症では肝臓から腸へ胆汁を流す胆管が閉塞し、胆汁が腸へ流れにくくなります。
早期診断・早期治療が非常に重要な病気であり、その大切な手がかりとなるのが便の色です。
黄疸が脳に影響する「ビリルビン脳症」とは
新生児黄疸で医療者が最も避けたい合併症の一つが、ビリルビンによる神経障害です。
血液中で増える間接ビリルビンの多くは、通常アルブミンというタンパク質と結合しています。
しかし、ビリルビン値が非常に高くなったり、赤ちゃん側に神経毒性を高めるリスク因子があったりすると、ビリルビンが脳組織へ移行して神経障害を起こすことがあります。
急性期にみられる神経症状を急性ビリルビン脳症(acute bilirubin encephalopathy)と呼びます。

進行すると、
- 哺乳不良
- 強い眠気・反応低下
- 筋緊張の異常
- 甲高い泣き声
- 体を反らせるような姿勢
などがみられることがあります。
そして、ビリルビンによる神経障害が永続的に残った状態が核黄疸(kernicterus)と呼ばれます。
つまり、厳密には「急性ビリルビン脳症」と「核黄疸」は同じものではありません。
こうした重篤な合併症を防ぐために、新生児期には必要に応じてビリルビン測定を行い、治療基準を超えれば早めに光線療法などを行います。
黄疸の広がりを見る「クラマー法」
黄疸は一般的に、顔から始まり、胸やお腹、手足へと広がっていく傾向があります。
この黄疸の広がり方を利用した身体所見の一つがクラマー法(Kramer分類)です。
黄染が、
- 顔だけにある
- 胸やお腹まで広がっている
- 腕や脚まで広がっている
- 手のひらや足の裏まで黄染している
と進むほど、ビリルビン値が高い可能性があります。
ただし、ここは非常に重要です。
皮膚の色だけからビリルビン値を正確に推定することはできません。
照明の色、皮膚の色調、観察する人によって見え方も変わります。
したがってクラマー法はあくまで「気づくための目安」であり、治療の要否を決める検査ではありません。
特に手のひら・足の裏まで強く黄色く見える場合は、医療機関へ相談する目安になります。
すぐに医療機関へ相談したいサイン
以下のような場合は、「もう少し様子を見よう」と自己判断せず、出産した医療機関・小児科・産科へ連絡してください。

- 出生後24時間以内に黄疸が出てきた
- 黄疸が急速に強くなっている
- 手のひら・足の裏まで明らかに黄色い
- 赤ちゃんがぐったりしている
- 起こしてもなかなか起きない、反応が悪い
- 母乳やミルクをうまく飲めない
- 授乳量・哺乳量が明らかに減った
- 尿が極端に少ない
- 甲高い声で泣く
- 体を強く反らせるような様子がある
- 便が白・灰白色・薄いクリーム色に見える
- 尿が濃い黄色〜褐色で、おむつに色がつく
- 発熱・低体温・呼吸がおかしいなど、黄疸以外にも体調不良がある
また、赤ちゃんの状態が良さそうでも、正期産児で生後2週間を過ぎても黄疸がはっきり残っている場合は、一度小児科へ相談しておくと安心です。
特に便色や尿色に異常がある場合は、2週間を待つ必要はありません。
黄疸が長引くときに注意したい「胆道閉鎖症」
赤ちゃんの黄疸について知っておきたい病気の一つが胆道閉鎖症です。
頻度の高い病気ではありませんが、早期発見が重要です。
胆道閉鎖症では、肝臓で作られた胆汁が腸へ十分に流れなくなります。
胆汁には便を黄色〜茶色にする色素が含まれているため、胆汁が腸へ届かなくなると、便の色が薄くなります。
そのため、
「赤ちゃんの黄疸が続く+便の色が薄い」
という組み合わせは特に重要です。
日本では胆道閉鎖症を早く見つけるため、母子健康手帳に「便色カード」が綴じ込まれています。
赤ちゃんの便が白・灰白色・非常に薄いクリーム色に見える場合は、スマートフォンの画面だけで色を比較するのではなく、母子健康手帳の実物の便色カードも参考にしてください。
そして、便色カードで異常が疑われる場合や、「いつもより明らかに白い」と感じる場合は、健診まで待たず医療機関へ相談してください。
覚えておきたいサイン
黄疸では「肌の黄色さ」だけではなく、便と尿の色も非常に重要です。
治療の中心となる「光線療法」とは
ビリルビン値が治療基準を超えた場合に、最も一般的に行われる治療が光線療法(phototherapy)です。
名前のとおり、赤ちゃんの皮膚に特殊な光を当てます。
現在の光線療法では、ビリルビンに作用しやすい青〜青緑色領域の光が利用されます。
この光が皮膚に存在するビリルビンに当たると、ビリルビンの構造が変化し、肝臓で通常の処理を行わなくても体外へ排泄しやすい形になります。
つまり光線療法は、
「まだ肝臓だけでは処理しきれないビリルビンを、光の力で体外へ出しやすい形に変える治療」
とイメージすると分かりやすいでしょう。
治療中は、使用する装置や施設の方針に応じて目を保護しながら、できるだけ広い皮膚面積へ光を当てます。
治療中も、赤ちゃんの体温・水分状態・哺乳状態などを確認しながら管理します。
また、授乳そのものも重要です。
適切な哺乳を続け、便をしっかり出すことはビリルビン排泄にもつながります。
ビリルビン値が非常に高く、光線療法だけでは神経障害を十分に防げないと判断される場合には、より集中的な治療や交換輸血が必要になることがあります。

黄疸があったら母乳はやめるべき?
結論から言えば、黄疸があるという理由だけで母乳を中止する必要は通常ありません。
まず確認すべきなのは、母乳か人工乳かではなく、赤ちゃんが必要な量を飲めているかです。
哺乳不足がある場合
授乳回数や吸着・吸啜の状態を確認し、必要に応じて助産師などから授乳支援を受けます。
赤ちゃんの摂取量が不十分、体重減少が大きい、脱水が疑われるなどの場合には、搾母乳や人工乳などを追加することがあります。
これは「母乳が悪いから」ではなく、赤ちゃんへ必要な水分とエネルギーを届けるためです。
母乳性黄疸の場合
赤ちゃんが元気で、十分に飲めており、体重増加も良好で、その他の病気が否定的であれば、基本的には母乳を続けることができます。
過去には「母乳性黄疸を確認するために母乳を数日中止する」という方法が広く行われていました。
現在でも特別な状況で短期間の中断が検討されることはありますが、黄疸がある赤ちゃん全員に routinely 行うものではありません。
現在の考え方では、母乳育児を可能な限り支援しながら、必要に応じてビリルビン値を測定し、補足授乳や光線療法などを組み合わせることが基本です。
もし医療者から母乳中断を提案された場合には、
- なぜ中断が必要なのか
- 何時間・何日程度なのか
- その間は何を飲ませるのか
- 母乳分泌を維持するため搾乳が必要か
- いつから再開するのか
を確認しておくとよいでしょう。
よくある疑問 Q&A
Q. 退院時に「少し黄疸があります」と言われました。家では何を見ればいいですか?
A. 黄疸の見た目だけではなく、よく飲めているか、起こしたときに反応するか、尿や便がきちんと出ているかを確認してください。
皮膚の色を見る場合は、できれば昼間の自然光に近い環境で確認します。
ただし、家庭で皮膚の色を確認するだけではビリルビン値は分かりません。退院時に再診やビリルビン再検査を指示されている場合は、赤ちゃんが元気そうでも必ず予定どおり受診してください。
Q. 黄疸の数値は何mg/dLから治療ですか?
A. 一律には決まっていません。
治療開始の判断には、出生後何時間か、在胎週数、総ビリルビン値、溶血や敗血症などの神経毒性リスク因子を組み合わせて判断します。
そのため、「○mg/dLなら絶対安全」「○mg/dLなら全員光線療法」とは言えません。
Q. 光線療法中も授乳できますか?
A. 多くの場合、授乳を続けます。
適切な哺乳は脱水を防ぎ、便からのビリルビン排泄を促す意味でも重要です。
ただし、ビリルビン値が非常に高く集中的な光線療法が必要な場合には、光を当てる時間をできるだけ確保する必要があります。具体的な授乳方法は担当スタッフの指示に従ってください。
Q. 黄疸が2週間以上続いています。母乳性黄疸でしょうか?
A. 母乳性黄疸の可能性はありますが、それだけとは限りません。
特に正期産児で生後2週間を過ぎても明らかな黄疸が残る場合は、一度小児科へ相談することをおすすめします。
必要に応じて総ビリルビンだけでなく、直接ビリルビンを含めた検査を行い、胆汁うっ滞などがないか確認します。
Q. 便が白っぽいのですが、大丈夫でしょうか?
A. 白色・灰白色・非常に薄いクリーム色の便は、胆道閉鎖症などの胆汁うっ滞を疑う重要なサインです。
黄疸が強くなくても、便が白っぽい場合は医療機関へ相談してください。
母子健康手帳に綴じ込まれている便色カードも参考になります。
Q. 尿が黄色いのは普通ではないのですか?
A. 新生児の尿には多少の色がつくことがありますが、胆汁うっ滞があると、直接ビリルビンが尿へ排泄されるため、尿が濃い黄色〜褐色となり、おむつに色がはっきりつくことがあります。
特に「黄疸+白っぽい便+濃い尿」という組み合わせは重要なので、早めに受診してください。
Q. 黄疸を改善するため、赤ちゃんを日光に当てた方がいいですか?
A. 自宅で日光浴を行うことを、医療機関で行う光線療法の代わりにしてはいけません。
医療用の光線療法は、適切な波長と光量を管理したうえで行われる治療です。
一方、日光では照射量を管理できず、赤ちゃんには体温上昇や紫外線曝露などの問題もあります。
黄疸が心配な場合は、日光浴で様子を見るのではなく医療機関へ相談してください。
Q. 退院後、再診を指示されていません。それでも心配なら受診していいですか?
A. もちろんです。
特に新生児期は、「いつもと違う」「飲み方がおかしい」「以前より黄色くなった気がする」と感じたら、それ自体が相談する十分な理由になります。
赤ちゃんについては、「受診した結果、大丈夫だった」で構いません。
まとめ——「黄色いか」だけでなく、時期・元気・便・尿を見る
新生児黄疸について、大切なポイントをまとめます。
- 新生児黄疸は非常によくみられ、多くは生理的な変化です
- 赤ちゃんはビリルビン産生が多いうえ、肝臓での処理能力がまだ未熟なため黄疸になりやすくなります
- 出生後24時間以内の黄疸は、典型的な生理的黄疸ではなく早めの評価が必要です
- 治療の判断は「○mg/dL」という一つの数字だけではなく、出生後時間・在胎週数・総ビリルビン値・リスク因子を組み合わせて行います
- 母乳に関連する黄疸には「哺乳不足に伴う高ビリルビン血症」と「母乳性黄疸」があり、原因が異なります
- 黄疸があるという理由だけで、通常は母乳を中止する必要はありません
- 手のひら・足の裏まで強く黄色い、ぐったりする、哺乳できないなどの場合は速やかに相談してください
- 白〜灰白色の便や濃い尿は、胆道閉鎖症などを疑う重要なサインです
- 正期産児で生後2週間を超えて明らかな黄疸が残る場合は、一度小児科へ相談すると安心です
- 治療が必要な場合、中心となるのが光線療法です
赤ちゃんの黄疸について最も伝えたいのは、「黄色い=すぐ危険」でも、「赤ちゃんにはよくある=全部大丈夫」でもないということです。
生後何日から黄色くなったのか。
昨日より強くなっていないか。
しっかり飲めているか。
いつもどおり起きて反応しているか。
便と尿はいつもどおりか。
こうした情報を合わせて見ることが、新生児黄疸を安全に見守るためのポイントです。
そして、親から見て「何となくいつもと違う」と感じるときは、その感覚も大切にしてください。
新生児期は、受診して「問題ありません」と確認できることにも意味があります。迷ったときは、一人で判断せず、出産した医療機関や小児科へ相談してください。
参考文献・情報源
- American Academy of Pediatrics. Clinical Practice Guideline Revision: Management of Hyperbilirubinemia in the Newborn Infant 35 or More Weeks of Gestation. Pediatrics. 2022;150(3):e2022058859.
- American Academy of Pediatrics. Breastfeeding and the Use of Human Milk: Policy Statement. Pediatrics. 2022;150(1):e2022057988.
- National Institute for Health and Care Excellence(NICE). Jaundice in newborn babies under 28 days. Clinical guideline CG98. Updated 2023.
- Centers for Disease Control and Prevention(CDC). Jaundice and Breastfeeding. Updated 2025.
- Academy of Breastfeeding Medicine. ABM Clinical Protocol #22: Guidelines for Management of Jaundice in the Breastfeeding Infant 35 Weeks or More of Gestation.
- 国立成育医療研究センター「胆道閉鎖症早期発見のために」
- 厚生労働省「母子健康手帳における便色カードの作成等の要領について」
※本記事は2026年8月時点の医学情報をもとに、一般の方向けに作成しています。個別の診断や治療方針は、在胎週数、日齢、ビリルビン値、哺乳状態、基礎疾患などによって異なります。お子さんについて心配な症状がある場合は、出産した医療機関・小児科・産科へご相談ください。
Dr.はると|呼吸器内科医・子育て中の父

Dr.はると|呼吸器内科専門医・0歳児パパ
医師として働きながら、資産形成・育児の両立に取り組んでいます。
「医師目線のリアルな情報」を届けるべく、資産形成・育児・医療知識のテーマで発信中。
「難しい情報をわかりやすく」をモットーに、忙しい医師・子育て中の親御さんに役立つ記事を書いています。
