0歳赤ちゃんの発熱:病院に行くべきか医師が解説

赤ちゃんが熱を出したとき、何を見て判断するか——月齢別の受診目安と自宅ケアを医師パパが整理する

赤ちゃんが初めて熱を出したとき、親はほぼ例外なく不安になります。

「38度あるけど夜中に救急に行くべき?」「解熱剤って使っていいの?」「機嫌が悪いだけだけど大丈夫?」——これは正常な反応です。不安になって当然です。赤ちゃんは自分の状態を言葉で伝えることができません。泣く・ぐずるという表現しか持っていない相手を前に、「今どのくらいしんどいのか」「このまま家で様子を見ていいのか」を判断しなければならない。親の立場になれば、その重さはよくわかります。

私自身、呼吸器内科医として日常的に発熱患者を診ていますが、我が子が38.5度の熱を出した夜は、正直かなり動揺しました。知識があっても、不安は消えません。むしろ「知っているからこそ、最悪のケースが頭をよぎる」という側面もあります。

この記事では、小児科医ではなく「子どもを育てている医師パパ」の目線で、判断の軸をシンプルに整理します。難しい医学知識ではなく、「これだけ覚えておけば迷わない」というポイントに絞りました。

私は小児科専門医ではありません。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のお子さんの状態については、必ずかかりつけの小児科医にご相談ください。また、本記事は2026年8月28日時点の情報をもとにしています。   


目次

目次

  • まず結論:見るべきは「体温」より「状態」
  • 赤ちゃんの平熱は高い(ここでまず誤解が起きる)
  • 月齢別:受診の判断基準
  • 体温より重要な「危険サイン」
  • 迷ったら「♯8000」は最適解
  • 自宅でできる対応
  • よくある誤解
  • 医師パパの実体験:夜中の38度、「教科書」と「現実」の間で
  • よくある疑問Q&A
  • まとめ

まず結論:見るべきは「体温」より「状態」

「38度だから受診」「37度台だから様子見」——こうしたシンプルな判断は、実は危険です。体温はあくまでひとつの指標に過ぎません。本当に見るべきは次の3点です。

  • 機嫌(ぐったりしていないか)
  • 水分(飲めているか・おしっこが出ているか)
  • 呼吸(苦しそうでないか)

この3点が保たれていれば、多くの場合は緊急性が低いです。逆に言えば、体温が37.8度程度であっても、ぐったりして反応が鈍かったり、丸一日おしっこが出ていなかったり、呼吸が速くて苦しそうな様子があれば、それは受診が必要なサインです。

数字に引っ張られすぎず、お子さんの「全体の様子」を観察することが何より大切です。この視点さえ持っておけば、体温計の数字に一喜一憂するのではなく、「今、この子は大丈夫か」という本質的な判断ができるようになります。


赤ちゃんの平熱は高い(ここでまず誤解が起きる)

赤ちゃんの平熱は36.5〜37.5度が一般的です。大人に比べてもともと高めで、個人差もかなりあります。

さらに、泣いた後・食後・夕方・厚着のときは体温が上がりやすいため、「37.5度=発熱」とは限りません。お風呂上がりや激しく泣いた直後に測って「熱がある!」と焦るケースも少なくありません。数字を見て判断する前に、「今、体温が上がりやすい状況にないか」を一度考えてみてください。

また、脇の下で測ると実際より0.3〜0.5度低く出ることも覚えておきましょう。耳式体温計は操作が簡単ですが、測り方によって数値がばらつきやすいため、いつも同じ方法・同じ場所で計測することが重要です。

普段の体温を把握しておくことが、いざというときの最強の判断材料になります。健康なときに何度か測っておき、「うちの子の平熱は37.0度前後」といった基準を持っておくと、「いつもより高い」「これは明らかに発熱だ」という判断がしやすくなります。育児ノートやスマホのメモに記録しておくことをおすすめします。  


月齢別:受診の判断基準

ここが最も大切なポイントです。同じ「38度の発熱」でも、生後1か月の赤ちゃんと生後8か月の赤ちゃんでは、医学的なリスクがまったく異なります。月齢によって免疫の成熟度が違い、感染症が重症化するリスクも変わってくるからです。

生後3か月未満:38度以上で速やかに受診(時間帯問わず)

この月齢は免疫が未熟で、敗血症・細菌性髄膜炎のリスクがあります。元気そうに見えても例外はありません。まず♯8000に相談し、必要に応じて速やかに受診してください。

「機嫌よく飲んでいるから大丈夫」という判断は、この月齢には当てはまりません。細菌感染は初期に症状が分かりにくいことがあり、見た目の元気さが安心材料にならないのが怖いところです。夜中であっても、休日であっても、この月齢の38度以上は受診を最優先にしてください。

生後3〜6か月:38.5度以上、または状態が悪い場合に受診

免疫がやや安定してくる時期ですが、まだ注意が必要です。後述する「危険サイン」が1つでもあれば迷わず受診してください。

この時期はウイルス感染による発熱が増えてきますが、細菌感染も十分ありえます。体温だけでなく、飲み具合・ぐったり感・呼吸の様子を合わせて観察することが重要です。状態が良ければ経過観察で問題ないケースも多いですが、少しでも「おかしい」と感じたら♯8000に相談することをためらわないでください。

生後6か月以降:多くはウイルス感染。危険サインがなければ様子見も可

生後6か月を過ぎると、母体からもらった免疫(移行抗体)が減り始め、自分自身の免疫が発達してくる時期でもあります。風邪などのウイルス感染で39度台の熱が出ることは珍しくなく、元気に遊んでいるならば慌てて受診する必要は必ずしもありません。

39度以上が続く場合や、状態が悪い場合は受診を検討してください。ただし、後述する危険サインが出た場合はこの限りではありません。「月齢が上がったから大丈夫」ではなく、あくまで「全身の状態を総合して判断する」という姿勢は変わりません。


体温より重要な「危険サイン」

繰り返しになりますが、体温の数字はあくまで参考情報です。危険サインの有無こそが、受診判断の最重要基準です。「体温は38.2度だから様子見でいいか」ではなく、「下のリストに当てはまるものはないか」を先に確認するクセをつけてください。

すぐに受診(救急)すべきサイン

  • ぐったりしている・反応が鈍い
  • 呼吸が苦しそう(陥没呼吸・鼻翼呼吸)
  • チアノーゼ(唇・爪が紫色)
  • けいれんが起きている
  • 首が硬い・強い光を嫌がる
  • 発疹が急速に広がっている

陥没呼吸とは、息を吸うたびに胸の真ん中(胸骨の下)や肋骨の間がへこむ呼吸のことです。鼻翼呼吸は鼻の穴がふくらんで小鼻が大きく動く状態です。どちらも肺に十分な空気が入らず、呼吸が苦しい状態のサインです。見慣れない症状ですが、一度でも見たことがある親御さんはすぐ分かる特徴的な所見です。

早めに受診(当日〜翌日)すべきサイン

  • 発熱が3日以上続いている
  • 水分が取れない・尿が出ない
  • 強い不機嫌(あやしても改善しない)
  • 耳を触る・頭を振る(中耳炎の疑い)

「強い不機嫌」という表現は少し曖昧に聞こえるかもしれません。目安として、授乳してあやしても泣き止まない・30分以上ずっと泣き続けているといった状態が続く場合は受診を検討してください。また、尿が半日以上出ていない場合は脱水が進んでいる可能性があるため、早めの受診が必要です。


迷ったら「♯8000」は最適解

「受診すべきか迷う」——育児中に何度でも起きます。そんなときに使えるのが小児救急電話相談(♯8000)です。

項目 内容
電話番号 ♯8000(全国共通)
対応者 小児科医・看護師
費用 無料
相談内容 受診の要否・対処法・応急処置など

「こんなことで電話していいのか」と遠慮する必要はありません。このサービスはまさにそのために存在しています。深夜に体温計を見て不安になっているとき、「電話して専門家に聞ける」という選択肢を知っているだけで、親の心の余裕はまったく違います。判断に迷ったときの「最初の一手」として、ぜひ活用してください。

なお、都道府県によって受付時間が異なります。夜間・休日は対応時間が限られていることもありますので、あらかじめお住まいの地域の受付時間を確認しておくと安心です。

参考:厚生労働省|子ども医療電話相談事業(♯8000)について


自宅でできる対応

① 水分が最優先

母乳・ミルクをいつも通り与えてください。嫌がる場合は少量をこまめに。おしっこが出ているかどうかが脱水を確認する目安になります。

熱が出ると代謝が上がり、体から水分が失われやすくなります。「いつも通り飲んでいるか」「おむつが濡れているか」を定期的に確認してください。離乳食が始まっている月齢であれば、食欲がなくても水分だけは摂れるよう工夫しましょう。経口補水液(OS-1など)は乳児に使う場合、量に注意が必要です。心配な場合はかかりつけ医に相談を。

② 薄着にする

熱があるときに厚着や掛けすぎは禁物です。室温に合わせた薄着にして、汗をかいたらこまめに着替えさせましょう。

赤ちゃんは体温調節機能が未熟なため、服や布団で熱がこもりやすいです。「寒そうだから」と重ね着させることで、本来は37度台だったはずの体温が38度台に見えることもあります。まず薄着にして環境を整えてから再度測るというステップが有効です。

③ 解熱剤の考え方

解熱剤の目的は「熱を下げること」ではなく、「子どもを楽にすること」です。ぐったりしているとき・39度以上でつらそうなときに使用を検討してください。生後3か月未満には原則使用せず、必ず医師の指示のもとで使ってください。

よく「解熱剤を使うと治りが遅れる」と心配される方がいますが、現在の医学的なエビデンスではその根拠はありません。熱そのものは免疫反応の一部ですが、高熱で苦しんで眠れない・水分が取れないという状態の方が体への負担は大きいです。「使わない方がいい」ではなく「必要なときに正しく使う」という感覚でいてください。

④ 熱性けいれんが起きたら

熱性けいれんは、発熱に伴って起こる一時的なけいれんで、乳幼児の約2〜5%に経験があるとされています。親が目撃すると非常に怖い体験ですが、多くは5分以内で自然に止まり、後遺症もほとんどありません。

起きた場合は救急車を呼びながら、横向きに寝かせ・口に何も入れず・時間を計ることを心がけてください。けいれん中に「舌を噛まないように」と口に指や割り箸を入れる行為は危険ですので、絶対にやめてください。落ち着いて時間を計測し、けいれんの様子をスマホで録画できると、後で医師に伝えるうえで非常に役立ちます。


よくある誤解

高熱=重症ではない

39度台でも元気な子はいます。逆に、37.8度でもぐったりしている場合は要注意です。体温はあくまで参考値のひとつであり、全身の状態を合わせて評価することが大切です。「高熱だから重症」「低熱だから大丈夫」というシンプルな図式は、子どもの発熱には当てはまりません。

解熱剤は治りを遅らせない

そのようなエビデンスはありません。つらそうなときは適切に使って問題ありません。「薬を使わず頑張らせる方が体力がつく」というのも根拠のある話ではありません。子どもが楽に過ごせることを優先してください。

必要な受診を避けるリスクの方が大きい

「病院で感染するから行かない方がいい」という考えは理解できます。しかし、必要な受診を避けて重症化するリスクの方が医学的には高いです。受診の要否は体温と全身状態を総合して判断してください。迷ったら♯8000に相談してから判断するのが現実的です。


医師パパの実体験:夜中の38度、「教科書」と「現実」の間で

その夜は、静かでした。

いつも通り寝かしつけをして、ふと触れたおでこが、少し熱い。体温計を当てると——38.0度

息子は生後2か月でした。

その瞬間、頭に浮かんだのは教科書的な一文でした。

「生後3か月未満の38度以上は速やかに受診」

でも目の前の息子は、すやすや眠っていて、起きればミルクも飲むし、機嫌も悪くない。「本当に”発熱”なのか?」「それとも、ただ熱がこもっているだけか?」——医師としての知識と、親としての不安が、頭の中でせめぎ合いました。

すぐに救急に向かうこともできた。でもその前に、ひとつだけ冷静にやろうと思いました。♯8000に電話する——それだけです。

状況を説明すると、落ち着いた声でこう言われました。

「機嫌がよくて飲めているなら、まず環境を見直してみてください」

部屋を見渡すと、思い当たる節がありました。タオルケット、やや厚着。それらを外して、薄着にしてみる。

——30分後。体温は、36度台に戻っていました。熱がこもっていただけでした。

あのとき学んだのはシンプルです。「38度」という数字だけで動かないこと。そして、迷ったら相談すること。

知識があっても、我が子のこととなると冷静ではいられません。それは当然のことです。だからこそ、「迷ったときにどこに電話するか」を事前に知っておくことが、深夜の落ち着きにつながります。


よくある疑問Q&A

Q:熱が出たらすぐに解熱剤を使った方がいいですか?

解熱剤は「熱を下げるための薬」ではなく、「つらさを和らげるための薬」です。熱が出るたびにすぐ使う必要はありません。

目安として、38.5〜39度以上でぐったりしている、眠れない、水分が取れないという状態のときに使用を検討してください。元気に動いていて水分も摂れているなら、あえて使わなくても問題ありません。生後3か月未満には医師の指示なしに使用しないことが原則です。

Q:解熱剤を使ったら熱が下がりました。病院に行かなくていいですか?

解熱剤で熱が下がったとしても、危険サインがある場合は受診が必要です。また、解熱剤が効いている間は症状がマスクされることがあります。

特に生後3か月未満の赤ちゃんでは、解熱剤の使用を含めた判断を医師に委ねることが原則です。「熱が下がったから大丈夫」ではなく、「全身の状態がどうか」を合わせて確認してください。

Q:夜中に熱が出ました。朝まで待った方がいいですか?

判断の基準は「時間帯」ではなく「状態」です。前述した「すぐ受診すべきサイン」が一つでも当てはまるなら、夜中でも救急受診を検討してください。

迷う場合は♯8000に電話して相談してから判断するのが最も安全です。「朝まで待てる状態かどうか」を、電話口の専門家に判断してもらう、という使い方が最も合理的です。

Q:熱が3日続いています。病院に行くべきですか?

3日以上発熱が続いている場合は、ウイルス感染以外の原因(細菌感染・川崎病など)の可能性も考慮する必要があります。3日以上続く発熱は、状態が良くても受診を検討してください。

特に川崎病は4〜5日以上熱が続く、発疹・目の充血・手足のむくみ・唇の赤みなどが見られる場合に疑います。乳幼児に多い疾患で、適切な治療が重要です。発熱が長引く場合は自己判断せず、小児科を受診してください。

Q:熱があっても機嫌がよければお風呂に入れていいですか?

体調が安定していて本人が嫌がらなければ、短時間の入浴は可能とされています。ただし、ぐったりしている・38.5度以上の高熱がある場合は、無理に入浴させる必要はありません。

入浴後は体温が上がりやすいため、入浴直後に体温を測ると実際より高く出ることがあります。入浴後30分以上経ってから測るようにしてください。

Q:熱性けいれんが心配です。何か準備できることはありますか?

熱性けいれんが起きた場合の対処法をあらかじめ把握しておくことが重要です。「横向きに寝かせる・口に何も入れない・時間を計る・5分以上続いたら救急車」——この4点を頭に入れておいてください。

また、かかりつけ医から「ダイアップ(ジアゼパム坐薬)」などの予防薬が処方されている場合は、使用方法と適応を事前に確認しておきましょう。「けいれんが起きたら録画する」というのも、後の診療に非常に役立ちます。


まとめ

月齢 受診の目安
生後3か月未満 38度以上で速やかに受診(夜間・休日も)。まず♯8000
生後3〜6か月 38.5度以上、または状態が悪い場合
生後6か月以降 39度以上が続く、または危険サインあり

判断の3原則は、月齢で考える、体温より状態を見る、迷ったら♯8000——この3つです。

医師でも迷います。むしろ、親だからこそ迷います。だからこそ大事なのは、一人で判断しないことです。♯8000でも、救急でもいい。相談すること自体が正しい行動です。

「受診するかどうか迷った」「♯8000に電話した」、それは過保護でも心配しすぎでもありません。子どもの安全を守ろうとした、正しい親の行動です。自信を持ってください。


執筆:Dr.はると(呼吸器内科専門医・子育て中の父)
医師×資産形成×育児をテーマに発信中

参考:厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」、日本小児神経学会「熱性けいれん診療ガイドライン」

※本記事は2026年8月28日時点の情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成しています。お子さんの状態に不安がある場合は、必ずかかりつけの小児科医または救急外来にご相談ください。

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この記事を書いた人

Dr.はるとのアバター Dr.はると 呼吸器内科専門医

Dr.はると|呼吸器内科専門医・0歳児パパ
医師として働きながら、資産形成・育児の両立に取り組んでいます。
「医師目線のリアルな情報」を届けるべく、資産形成・育児・医療知識のテーマで発信中。
「難しい情報をわかりやすく」をモットーに、忙しい医師・子育て中の親御さんに役立つ記事を書いています。

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