資産ごとの特徴を知る|株・債券・REIT・不動産・国債を医師向けに徹底比較

資産ごとの特徴を知る|株・債券・REIT・不動産・国債を医師向けに徹底比較

「NISAで何を買えばいいのか」

「株だけで本当に大丈夫なのか」

「債券って結局いつ使うのか」

資産形成を始めると、多くの医師がこの壁にぶつかります。情報収集すればするほど「どれが正解か」が分からなくなり、結局何も動けないまま時間が過ぎていく——そういった経験をされた方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、「どの資産が正解か」ではなく「どう組み合わせるか」が本質です。すべての資産には強みと弱点があり、どれか1つが完全無欠ということはありません。それを理解したうえで、自分のライフステージと目的に合った組み合わせを設計することが、資産形成の本質的な問いになります。

この記事では、主要資産を4つの視点で整理しつつ、勤務医が実際にどう使い分けるべきかまで踏み込んで解説します。

【この記事の結論】
資産形成の出発点は「全世界株+現金(生活防衛資金)」のシンプルな2本柱で十分です。債券・REIT・不動産はその後の選択肢。最初から複雑に組まず、続けられる設計を優先することが最も重要です。育児期の医師には特に「流動性」と「シンプルさ」が求められます。

※本記事は2026年8月時点の情報をもとにしています。投資に関する個別の判断は、必ずご自身の状況と専門家の助言をもとに行ってください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。


目次

目次

  • まず押さえるべき「4つの視点」
  • 各資産の特徴と使いどころ
  • 2022年の教訓——「理論の分散」だけでは足りない
  • 医師に最適な現実的ポートフォリオ
  • よくある誤解(重要)
  • 【医師×育児という視点】流動性とシンプルさを優先する
  • まとめ

まず押さえるべき「4つの視点」

資産比較は、この4軸で考えると一気に整理できます。

① インフレリスク(購買力の低下)

インフレとは「お金の価値が下がること」です。年3%のインフレが続くと、100万円の実質価値は10年後に約74万円になります。株式・不動産・REITはインフレに強い資産の代表例で、現金・固定金利債券はインフレに弱い資産の代表例です。「銀行口座に置いておけば安全」という感覚は、インフレの観点からは正確ではありません。

② 為替リスク(円高・円安)

外国資産を保有する場合、円高になると資産価値が目減りします。たとえば1ドル150円の時に保有していたドル建て資産が、120円になった時点では約20%目減りします(資産の価格が変わらなくても)。外国株・外国債券・海外REITは為替の影響を受け、日本株・円預金・国内不動産は為替の影響を受けません。

③ 株との相関(同時に下がるか)

これが分散投資の本質です。どれだけ複数の資産を持っていても、株が暴落するときに同時に下がるものを組み合わせても分散効果は薄くなります。REITやハイイールド債は株と一緒に下がりやすく、国債・現金・金は株と動きがズレる傾向があります。後述しますが、2022年はこの前提が崩れた特殊な年でもありました。

④ 流動性(すぐ現金化できるか)

これは医師にとって特に重要な視点です。開業・転職・育児・住宅購入など、数百万〜数千万円単位で突然資金が必要になる場面が医師のキャリアには多くあります。株・投信・ETF・現金は流動性が高く、不動産・iDeCoは流動性が低い(すぐに現金化できない)資産です。


各資産の特徴と使いどころ

外国株(全世界インデックス)——資産形成の主軸

長期的な期待リターンは年5〜7%前後(歴史的な長期平均)とされており、世界経済全体の成長を取り込めることが最大の強みです。医師向けの使い方としては、NISAで最優先に置くことが基本です。

注意点として、30〜50%規模の下落は過去にも繰り返し起きており、決して珍しいことではありません。短期ではなく「20年以上保有する前提」で持つ資産です。「含み損が出たらどうしよう」と心配になる方は、まず少額から始めて下落を実体験として経験しておくことが、長期保有の精神的な備えになります。

日本株——サブ扱いが妥当

為替リスクがなく、日本に住む医師にとって心理的な安心感があるのはメリットです。ただし、全世界株と相関が高いため分散効果が薄く、長期的な成長を見込みにくいという点がデメリットになります。「日本株が好き」「日本の個別企業を応援したい」以外の理由で優先度を上げる積極的な根拠は少ないと考えます。

債券(先進国国債・社債)——守りのパーツ

株暴落時のクッション役として機能することが多く、「守り」のパーツとして位置づけられます。ただし、インフレ局面では普通に下落します(2022年はその典型でした)。医師向けの使い方としては、資産が1,000万円を超えてから検討するのが現実的です。それ以前は全世界株と現金のシンプルな2本柱の方が管理が楽で、精神的にも維持しやすいです。

REIT——インカムと株式の中間

不動産と株のハイブリッドのような特性を持ち、利回りは3〜5%前後が一般的です。定期的な配当(分配金)によるキャッシュフローを作りたい方に向いています。注意点として、株と同時に下がることが多く、分散効果は限定的です。REITを積極的に組み込む動機としては、配当収入を生活費の一部に当てたいというニーズが明確にある場合に限った方がシンプルです。

現物不動産——ハイリスク・ハイコントロール資産

レバレッジを使えることとインフレ耐性が高いことが強みです。ただし、本質的なリスクは流動性の低さにあります。売りたいときにすぐ売れない・価格交渉に時間がかかる・空室・修繕・金利上昇リスクなど、管理コストが高い資産です。医師は属性(信用力)が高いため融資を受けやすい立場にありますが、「属性が良い=不動産投資で勝てる」ではありません。不動産固有の知識(エリア・物件・契約・管理会社の選定など)が別途必要になります。

個人向け国債(変動10年)——安全資産の一選択肢

元本が保証されており、金利は10年国債利回りに連動する変動型です。最低金利は0.05%と定められています(2026年現在、日銀の政策金利変更の影響で実際の適用金利はこれを上回っています)。数年以内に使う予定のお金の置き場として、また株式相場が不安定な時期の一時的な退避先として活用できます。

現金——リターンはゼロだが最重要資産

現金そのものは投資リターンを生みませんが、生活防衛資金として生活費3〜6ヶ月分は必ず確保しておくべきです。よくある失敗は、現金を抱えすぎてインフレで実質的に目減りし続けること。必要量を確保したら、残りは運用に回すという設計が合理的です。


2022年の教訓——「理論の分散」だけでは足りない

2022年は資産運用の世界にとって教訓的な年でした。通常、株式と債券は相関が低く、株が下がれば債券が逃げ場になるとされてきました。ところが2022年は株も債券も同時に大幅下落するという、過去数十年では珍しい展開になりました。インフレ対応の急激な利上げが原因です。

これが示すのは、「相関は時代や環境によって変わる」という事実です。理論上の分散に頼りすぎると、想定外の相関が生じたときに痛い目を見ます。分散投資は「リスクをゼロにする」ための手段ではなく、「壊滅的な損失を避けるための保険」として理解しておくことが重要です。


医師に最適な現実的ポートフォリオ

資産形成を始める段階では、「全世界株+現金」のシンプルな2本柱で十分だと考えます。複雑なポートフォリオは管理コストが増え、判断が増え、継続する意志力を削ります。最初は生活防衛資金(現金:生活費3〜6ヶ月分)を確保し、次にNISAを活用した全世界株への積立を始める——これだけで資産形成の大部分はカバーできます。

資産全体が1,000万円を超えたあたりから、債券・国債・REITといった追加のパーツを検討するのが現実的なステップです。最初から完璧な分散を目指す必要はありません。


よくある誤解(重要)

「分散すれば安全」と思いがちですが、同時に下がることは普通に起きます(2022年がその証拠です)。分散は「損をしない」ための手段ではなく、「一点集中のリスクを避ける」ための手段です。「不動産は安定」というイメージも要注意で、流動性リスクという最大の弱点があります。そして「現金は安全」は、インフレ局面では確実に実質価値が目減りするという意味で完全には正確ではありません。どの資産にも弱点があると知っておくことが、過信を避けるための最初の一歩です。


【医師×育児という視点】流動性とシンプルさを優先する

育児期の医師には、他のライフステージとは違う特有の事情があります。支出が読みにくく、突発的なイベント(子どもの病気・保育費・住宅関連の費用など)が多い時期です。そのため、この時期に特に重要なのは「流動性」と「シンプルさ」の2点です。

複雑なポートフォリオよりも、「いつでも現金化できる」「管理の手間が少ない」「判断に迷わない」という設計の方が、育児の忙しさの中でも継続できます。迷わず継続できる設計こそが、長期的には最も大きなリターンをもたらします。

シンプルなポートフォリオが最強な理由
理論的に優れたポートフォリオも、管理が複雑で続かなければ意味がありません。「全世界株+現金」のシンプルな2本柱は、運用成績でアクティブ戦略に劣ることもありますが、20年続けられる設計である点で最大の強みを持っています。育児期の医師には、この「続けられること」が最も重要な評価軸になります。

まとめ

すべての資産には必ず弱点があります。分散投資はリターンを上げるためではなく、破綻を回避するための戦略です。最初は「全世界株+現金」で十分で、資産が積み上がってから複雑さを加えていけばいい。重要なのは、どんな相場環境でも続けられる設計を選ぶことです。

「どの資産が正解か」ではなく「自分のライフステージに合った組み合わせは何か」を軸に考えると、迷いが大幅に減ります。この記事がその整理の出発点になれば幸いです。


執筆:Dr.はると|呼吸器内科専門医・0歳児の父
医師×資産形成×育児をテーマに発信しています
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。投資に関する個別の判断は、必ずご自身の状況と専門家の助言をもとに行ってください。

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この記事を書いた人

Dr.はるとのアバター Dr.はると 呼吸器内科専門医

Dr.はると|呼吸器内科専門医・0歳児パパ
医師として働きながら、資産形成・育児の両立に取り組んでいます。
「医師目線のリアルな情報」を届けるべく、資産形成・育児・医療知識のテーマで発信中。
「難しい情報をわかりやすく」をモットーに、忙しい医師・子育て中の親御さんに役立つ記事を書いています。

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