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勤務医保険5選 wordpress用 · HTML
「とりあえず安心だから」で保険に入っていませんか?
「営業に勧められるまま契約した」
「必要かどうか分からないけど、なんとなく継続している」
勤務医は収入がある分、“カモにされやすい職業”でもあります。保険の営業担当者にとって、医師は「高収入で忙しく、保険の細かい内容を確認する時間も意欲もない」という条件が揃っています。研修医のころから「先生、少しお時間よろしいですか」と声をかけられた経験がある方は多いのではないでしょうか。
私自身も、資産形成を本格的に学ぶ前は複数の保険に加入していました。毎月の保険料の総額を計算したとき、正直驚きました。
しかし整理してみると、勤務医に必要な保険は、かなりシンプルです。
この記事では、家族のいる勤務医を前提に、本当に必要な保険・見直すべき保険・判断のフレームワークを、医師×資産形成の視点で解説します。
なお、保険の最適解は個人の収入・家族構成・資産状況によって大きく異なります。この記事はあくまで考え方の整理を目的としており、具体的な契約変更はファイナンシャルプランナーや専門家へのご相談をおすすめします。また、本記事で触れる公的制度については2026年8月時点の情報をもとにしています。制度は変更される可能性があるため、実際の金額・要件は最新の公式情報をご確認ください。
目次
- 前提:勤務医はすでに「公的保障」という保険に入っている
- 勤務医に本当に必要な保険【5つ】
- 見直し候補:入りすぎが多い保険
- 医師がやりがちなミス3選
- 保険を選ぶ判断フレームワーク
- よくある疑問Q&A
- まとめ
前提:勤務医はすでに「公的保障」という保険に入っている
まず最も重要なポイントを確認します。
勤務医は、公的保障という”最強の保険”にすでに加入しています。
この事実を知らずに民間保険を選ぶと、すでに公的制度でカバーされているリスクに対して二重にお金を払うことになります。民間保険を合理的に選ぶための第一歩は、まず自分が受けられる公的保障の全体像を把握することです。

① 傷病手当金(健康保険)
病気やケガで働けなくなった場合、健康保険から傷病手当金が支給されます。支給額は標準報酬日額の約3分の2、支給期間は支給開始日から通算して最長1年6か月です(2022年1月の改正により、就労できた日は支給期間に算入されない仕組みに変更されました)。
民間の「就業不能保険」が担っている役割の多くを、すでにこの制度が果たしています。標準報酬月額が高い勤務医ほど、支給額の絶対値も大きくなる点も重要です。長期の就業不能リスクのコア部分は、すでにこの制度でカバーされています。
② 障害年金(厚生年金)
重篤な障害が残った場合、障害の程度(1〜3級)に応じて障害基礎年金と障害厚生年金が支給されます。現役世帯でも受給対象となるため、傷病手当金の1年6か月を超えた後の長期的な保障として機能します。
「病気で障害が残ったら収入がゼロになる」という最悪のシナリオは、この制度がある程度緩和してくれます。一生続く可能性のあるリスクに対するベースの保障として、まず把握しておきたい制度です。
③ 遺族厚生年金
万が一死亡した場合、遺された家族に遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。子どもがいる世帯では支給額が上乗せされるため、特に子育て期間中は一定の保障があります。
ただし、医師の収入水準で考えると、遺族年金だけで家族の生活レベルを維持するには不十分なケースがほとんどです。ここを民間保険で補うことが合理的と言えます。
なお、2024年に成立した年金改正法により、子のいない30〜60歳の配偶者への遺族厚生年金は、将来的に生涯給付から5年の有期給付へ段階的に移行する改正が予定されています(施行は2028〜2030年ごろの予定)。2026年8月時点では現行制度が適用されていますが、今後の動向は引き続き確認しておくとよいでしょう。
④ 高額療養費制度(健康保険)
どれだけ高額な治療を受けても、ひと月の医療費の自己負担額には上限が設定されています。所得に応じて上限額が異なり、がんや重篤な疾患で長期入院になっても「医療費で家計が破綻する」事態はほぼ起きない仕組みになっています。
ただし、この自己負担上限額は2024年11月から3段階で引き上げられており、2026年8月時点は第2段階の改定が適用されている時期にあたります。具体的な上限額については、厚生労働省の公式情報または加入している健康保険組合に確認してください。
結論:保険の基本戦略は「足りない部分だけを最小コストで補う」
公的保障で補えないリスクを特定し、そこにだけお金をかける。この原則さえ持っていれば、保険選びで大きく失敗することはありません。

勤務医に本当に必要な保険【5つ】
公的保障の全体像を把握したうえで、民間保険として持っておくべきものを整理します。
① 収入保障保険(最重要)
死亡または高度障害状態になった場合に、毎月一定額が残された家族に給付される定期型の保険です。
子育て世帯では住居費・教育費・生活費など、長期間にわたって支出が続きます。遺族年金だけでは医師の収入水準には遠く及ばないため、生命保険の中で最も優先すべき選択肢と言えます。
選ぶ際のポイントは3つあります。まず、掛け捨て(定期型)で十分です。貯蓄機能は不要で、保障だけを安く確保することが目的です。次に、保障期間は「子どもが自立するまで」を目安にします。子どもが自立すれば、保障の必要性は大幅に下がります。そして、必要保障額は「生活費 − 遺族年金 − 保有資産」で計算します。資産が増えるにつれて必要保障額は減らせるため、定期的に見直すことも重要です。
「収入保障保険」という名称に聞き慣れない方もいるかもしれませんが、保険料が割安で、毎月給付されるため家族の生活費補填に向いています。一時金で受け取る「定期死亡保険」と比較しても、コストパフォーマンスの高い選択肢です。生命保険は、まずこの1本から考えてみてください。

② 火災保険(実質必須)
持ち家の場合は建物と家財を、賃貸の場合は家財と借家人賠償責任をカバーする保険です。住宅ローン契約時は加入が必須とされており、賃貸でも契約時にほぼ求められます。
見落としがちですが、火災・水害・風災・盗難など、日常生活で突発的に発生するリスクをカバーする重要な保険です。特に近年は自然災害の激甚化が続いており、補償内容の確認が重要になっています。保険料は建物の構造・所在地・補償内容によって大きく異なるため、複数の保険会社で比較することをおすすめします。

③ 自動車保険・任意保険
任意の自動車保険では、対人・対物賠償を無制限で設定することが基本です。
交通事故で相手方に重篤な障害が残った場合、賠償額が億単位になるケースがあります。医師のように一定の資産を持つ立場では、無保険・補償が不十分な状態で車を運転することは大きなリスクです。「任意保険だからそこまで必要ない」と考えず、対人・対物は必ず無制限で設定してください。

④ 自賠責保険(義務)
法律により加入が義務付けられており、対人賠償のみ・上限ありの保険です。自賠責保険だけでは補償範囲が限定的であるため、必ず③の任意自動車保険と組み合わせることで、初めて十分な備えになります。
未加入での走行は法律違反となるため、車検・保険の期限管理は徹底しましょう。忙しい勤務医ほど、こうした管理が抜けやすいため注意が必要です。

⑤ 医師賠償責任保険(医賠責保険)
医療行為に起因する損害賠償請求に対応する保険です。勤務先の病院が団体加入しているケースが多いですが、補償上限や対象範囲を確認せずに勤務先任せにすることは危険です。
医療訴訟の件数は一定数存在し、訴訟費用・和解金・賠償金のいずれも高額になりうる時代です。勤務先の補償内容が不十分な場合は、個人でも加入を検討してください。特に、外来でのアルバイト(非常勤)など、勤務先の団体保険の対象外になりうる状況では注意が必要です。

見直し候補:入りすぎが多い保険
ここからは、勤務医が入りがちだが費用対効果の観点で見直しを検討してよい保険を解説します。「すべてを解約すべき」という話ではなく、「合理的に判断してほしい」という趣旨です。
① 学資保険
「子どもの教育費を確保したい」という目的は正当です。しかし、その手段として学資保険を選ぶ必要はありません。
学資保険の実質年利は0〜1%程度が多く、インフレを考慮するとほぼゼロです。将来の教育費が上昇しても受取額は固定されており、途中解約すると元本割れするケースも多いため流動性も低い。同じ金額を毎月インデックスファンドに積み立てた場合の期待リターンは、学資保険を大きく上回る可能性があります。
ジュニアNISAは2023年末で新規投資が終了しましたが、通常のNISA(成長投資枠・つみたて投資枠)を活用して教育資金を積み立てることは十分に可能です。学資保険とNISA積立を比較したうえで判断することをおすすめします。
② 積立型・変額保険
「保障と貯蓄が一緒になっていて便利」というのは営業トークです。保険と投資を一つの商品にまとめると、双方の効率が落ちます。
積立型・変額保険は手数料が見えにくく高い傾向があります。保険会社の運営コストや販売手数料が内包されており、実際の運用効率は低くなります。また、投資先の変更・解約・一部引き出しに制約があるため自由度も低い。
掛け捨て保険で保障を安く確保し、余剰資金はNISA・iDeCoで運用する——このシンプルな分離が、長期的な資産形成には合理的です。「投資で運用しながら保障も」という商品が優れているように聞こえますが、それぞれを個別に持った方が結果的にコストパフォーマンスが高くなるケースがほとんどです。
③ 養老保険
一定期間後に満期保険金が受け取れる養老保険は、かつて法人での節税スキームとして活用されていました。しかし2019年以降の税制改正により、そのメリットは大幅に縮小されています。
個人加入においても、返戻率の低さ・長期拘束・インフレへの弱さという課題は変わりません。「保険で貯める」時代は終わったと考えてよいでしょう。過去の節税スキームとして加入したままになっている場合は、一度内容を見直してみることをおすすめします。
④ 医療保険・がん保険
高額療養費制度があることを知ったうえで考えると、医療保険・がん保険は必須ではありません。十分な貯蓄があれば入院費用は自己負担でカバー可能であり、高額な医療費も制度によって上限が設けられています。
ただし、例外もあります。貯蓄がまだ少ない研修医〜勤務医初期の時期、将来の開業など公的保障が手薄になる状況を見据えている場合、先進医療(保険適用外の治療)への備えとして加入を検討する場合などは、合理的な選択肢になりえます。
医療保険・がん保険への加入を否定するわけではありません。ただし「入らないと不安だから」という感情ではなく、「高額療養費制度でどこまでカバーされるか」「自分の貯蓄でどこまで耐えられるか」を確認したうえで判断することが重要です。

医師がやりがちなミス3選
① 保険に入りすぎる
「全部カバーしよう」という思考が落とし穴です。リスクをすべて保険で排除しようとすると、保険料だけで毎月数万〜十数万円になりかねません。
保険は「低確率だが起きたときの損失が壊滅的なリスク」に絞って使うものです。確率が高い小さなリスク(例:数日程度の入院、軽い病気)は貯蓄で対応するのが原則です。「万が一に備えてすべてカバーしたい」という気持ちはわかりますが、その分だけ資産形成に回せるお金が減っていることも意識してください。
② 貯蓄性の保険商品を選ぶ
「払った保険料が戻ってくる」「運用しながら保障も」という言葉は魅力的に聞こえます。しかし金融リテラシーの観点から見ると、保険会社のコストが内包されている時点で、純粋な投資商品よりも効率は劣ります。
「掛け捨ては損」という感覚は、保険業界にとって都合の良い誤解です。掛け捨て保険は必要な保障を最小コストで確保するためのツールであり、「払っても何も残らない」のではなく「保障機能にだけお金を払っている」と考えるのが正確です。

③ 公的保障を知らないまま保険を選ぶ
これが最も多く、最も危険なミスです。傷病手当金・障害年金・遺族厚生年金・高額療養費制度——これらを知らないまま保険を選ぶと、すでにカバーされているリスクに二重でお金をかけることになります。
保険を見直す前に、まず自分が受けられる公的保障を調べることが第一歩です。「知らなかった」では済まされない金額の保険料を、長年払い続けているケースは珍しくありません。
保険を選ぶ判断フレームワーク
保険を選ぶとき、どう判断すればよいか迷う方は多いと思います。私が意識しているのは、次の3つの問いで整理することです。
- 公的保障でどこまでカバーされるか(傷病手当金・障害年金・遺族年金・高額療養費など)
- 自分の資産でどこまで耐えられるか(緊急予備資金・金融資産の状況)
- 誰が困るのか(配偶者・子ども・親など、自分に経済的に依存している人の有無)
たとえば独身で資産が十分にある場合、①②③の答えはすべて「リスク小」になり、生命保険の必要性はほぼなくなります。逆に、子どもが小さく資産がまだ少ない時期は、収入保障保険の必要性が高まります。
保険は「今の自分の状況」に合わせて定期的に見直すものです。子どもが自立した、資産が増えた、職場の保障内容が変わった——そうした変化のタイミングで見直しの機会を作ることをおすすめします。
よくある疑問Q&A
Q:就業不能保険は必要ですか?
傷病手当金(最長1年6か月・賃金の約2/3)と障害年金を把握したうえで判断することが重要です。
傷病手当金の期間を超えて長期的に働けなくなるリスクへの備えとして就業不能保険を検討することは合理的ですが、高収入の勤務医の場合、給付額の上限がある就業不能保険では収入の全額を補えるわけではありません。また、保険料も高くなりがちです。
傷病手当金・障害年金・緊急予備資金の3つで対応できる範囲を整理したうえで、不足が生じる部分にだけ民間保険を検討するという順序が合理的です。
Q:団体保険(職場の保険)は加入すべきですか?
病院が提供する団体保険は、一般に保険料が割安に設定されていることが多く、まず確認してみる価値があります。ただし、退職・転職した際に失効する場合があります。
「職場の保険に加入しているから大丈夫」と安心しすぎず、補償内容・上限額・退職後の扱いを確認したうえで、民間保険との組み合わせを考えましょう。
Q:保険料の見直しはどのタイミングでするべきですか?
人生の節目が見直しの好機です。具体的には、結婚・出産・住宅購入・転職・資産の大幅な増加・子どもの独立などがあげられます。
特に勤務医は収入が高く、保険料の節約インパクトが大きくなります。毎月3万円の不要な保険料を削減し、20年間NISAで運用した場合の違いを一度シミュレーションしてみてください。その差は数百万円になる可能性があります。
Q:FP(ファイナンシャルプランナー)への相談は役に立つ?
相談する際は、「独立系FP」(特定の金融機関・保険会社に属さないFP)を選ぶことが重要です。保険会社や銀行に属するFPは、自社商品を勧める利益相反が生じる可能性があります。
相談料が発生する独立系FPの方が、中立的なアドバイスを得やすいと一般的には言われています。相談前に「どのような形で報酬を受け取っているか」を確認することをおすすめします。
Q:がん家系なので、がん保険は入った方がよいですか?
家族歴があることは気になりますが、保険を選ぶ際の判断基準は「家族歴があるかどうか」より、「発症した際に、高額療養費制度と手持ちの貯蓄で対応できるかどうか」が本質です。
高額療養費制度が適用されるため、保険適用内の治療費は上限が設けられています。一方、抗がん剤の中には保険適用外のものや、先進医療として自己負担が大きいものもあります。「先進医療特約」だけに絞った形で備える方法も合理的な選択肢のひとつです。
まとめ
勤務医に必要な保険
- ✔ 収入保障保険(家族あり・定期型・掛け捨て)
- ✔ 火災保険(持ち家・賃貸どちらも)
- ✔ 自動車保険+自賠責保険(対人・対物は無制限)
- ✔ 医師賠償責任保険(勤務先の補償内容を確認のうえ)
見直し候補
- △ 学資保険(NISAでの積立投資と比較検討)
- △ 積立型・変額保険(保障と投資の分離を検討)
- △ 養老保険(コスト・拘束期間・税制改正後の実態を再確認)
- △ 医療・がん保険(貯蓄状況と公的保障の範囲で判断)
保険は「安心のため」ではなく、「万が一のときに家族や自分が破綻しないための手段」です。ここを履き違えなければ、過剰な保険には入りません。
毎月の保険料の総額を一度計算してみてください。そのお金をNISAに回したら、10年後・20年後にどうなるか——そのシミュレーションが、保険見直しの最強の動機になります。

最後に(医師として)
日々診療していると、「経済的不安」が健康に与える影響は無視できないと感じます。お金の心配が慢性的なストレスになり、睡眠や食事、家族関係にまで影響するケースを見てきました。
だからこそ、合理的に備えて、余計な不安は減らすことが大切だと思っています。保険を整理することは「切り捨て」ではなく、「本当に必要なものに絞ること」です。その結果として浮いた保険料を資産形成に回せれば、将来の選択肢は確実に広がります。
保険は難しく考える必要はありません。「公的保障で何がカバーされているか」を知り、「足りない部分だけを最小コストで補う」——この順番で考えるだけで、保険選びの大きな失敗は防げます。
執筆:Dr.はると(呼吸器内科専門医・子育て中の父)
医師×資産形成×育児をテーマに発信中
※本記事は2026年8月28日時点の情報をもとに作成しています。傷病手当金・高額療養費制度・遺族厚生年金などの公的制度は変更される可能性があります。具体的な金額・要件については、健康保険組合・日本年金機構・厚生労働省の最新情報をご確認ください。また本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品・保険商品の勧誘を目的としたものではありません。具体的な保険の見直しはファイナンシャルプランナーや専門家にご相談ください。

Dr.はると|呼吸器内科専門医・0歳児パパ
医師として働きながら、資産形成・育児の両立に取り組んでいます。
「医師目線のリアルな情報」を届けるべく、資産形成・育児・医療知識のテーマで発信中。
「難しい情報をわかりやすく」をモットーに、忙しい医師・子育て中の親御さんに役立つ記事を書いています。
