「NISAもiDeCoも始めたい…でも、どっちを先にすればいいの?」
研修医の頃から「お金の勉強をしなきゃ」と思いつつ、気づけば専攻医・専門医へ。気がついたら手取りはそれなりになったのに、貯金はなぜか増えていない——そんな経験、ありませんか?
勤務医として働いていると、新NISAとiDeCoはよく話題に上がります。でも「どっちから始めればいいの?」「両方やるべき?」「iDeCoって結局得なの?」という疑問が浮かんで、なかなか動き出せない人が多いのも現実です。その背景には、忙しくて後回しにしてしまう・制度が複雑で理解が面倒・「損したくない」という心理的ブレーキがあります。
👉 その結果、「始めない」という最大の機会損失が起きています。複利の力は時間と共に大きくなるため、1年の先送りが将来の資産に数百万円単位の差をもたらすこともあります。
この記事では、呼吸器内科専門医・32歳・0歳児の父である僕が、勤務医目線でNISAとiDeCoの正しい優先順位と使い方を数字を交えてリアルに解説します。制度の仕組みから実践ポートフォリオまで、ぜひ最後まで読んでください。
結論:原則は「新NISA優先 → 余裕があればiDeCo」
最初に結論を言います。
- 👉 ① まず新NISAを優先して使い切ることを目指す
- 👉 ② 余力があればiDeCoを追加する
理由はシンプルです。新NISAはいつでも引き出せる自由度の高い非課税口座。iDeCoは節税効果は強力ですが60歳まで引き出せないという強い制約があります。
子育て中で急な出費が多い時期や、勤務環境の変化もある医師のキャリアを考えると、まず流動性の高い新NISAを優先するのが合理的です。新NISAに上限まで入れた上でなお余裕資金があるのであれば、その時点でiDeCoを積み上げる——この2ステップの順番を崩さないことが、勤務医にとっての「正解」です。

医師にこの順番が特に重要な理由
勤務医はキャリアの不確実性が意外と高い職種です。専門医の取得・転職・大学院進学・開業の可能性に加え、育児による時短勤務や配偶者の働き方の変化、住宅購入など、将来のキャッシュ需要が読みにくい局面が続きます。
そのような状況で資金を60歳まで完全にロックしてしまうのは、純粋なリスクになります。特に30〜40代の医師は、働き盛りと同時に出費のピークが重なりやすい。教育費・住宅ローン・保険の見直しなど、「急に大きなお金が必要になる」シナリオは珍しくありません。
👉 保険の見直しと資産形成を同時に進めたい方は、こちらも参考にどうぞ:勤務医に本当に必要な保険5選|9割の人が入りすぎ
👉 まず流動性の高い新NISAで資産の土台をつくり、生活防衛資金・保険・万一への備えが整った段階でiDeCoを活用する——この順番が、勤務医にとっての最適戦略です。

新NISA vs iDeCo 基本比較表(最新・正確版)
まずは両制度の全体像を整理しましょう。制度の違いを正確に理解することが、正しい優先順位づけの土台になります。
| 項目 | 新NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| 運用益 | 非課税 | 非課税 |
| 掛金の所得控除 | なし | あり(全額控除) |
| 年間上限額 | 最大360万円 (つみたて120万+成長240万) |
原則27.6万円 (会社員扱いの勤務医) |
| 生涯非課税枠 | 1800万円 | 制限なし(年上限あり) |
| 引き出し | いつでも可 | 原則60歳まで不可 |
| 受け取り時の課税 | 非課税 | 課税あり(控除あり) |
| 向いている人 | ◎ 全員まずここ | ○ 高所得者・長期前提 |
新NISA:最優先で使うべき理由
最大のメリットは「自由度」
新NISAが勤務医に圧倒的に向いている最大の理由は、その柔軟性にあります。いつでも売却OK・途中で戦略変更OK・ライフイベントに対応可能——この3点は、将来の見通しが立てにくい医師×育児世帯にとって非常に重要です。
「将来絶対に使わない」と言い切れる資金以外は、できるだけ流動性を保っておくのが合理的な考え方です。新NISAはその要件を満たしながら、運用益・配当金をすべて非課税で受け取れる優れた制度です。
シミュレーション:NISAと課税口座の差
月30万円(年360万円)を年利5%で運用した場合(複利・追加投資を前提):
- 5年後:約2,040万円
- 10年後:約4,660万円
👉 課税口座なら運用益に対して約20%の税金が発生します。NISAならこの利益が丸ごと非課税。1800万円フルに活用できれば、長期では数百万円単位の差が生まれます。勤務医の高い収入をそのまま非課税枠に流し込めるのは、大きな特権です。
新NISAで失敗しないポイント
- ❌ タイミングを見計らって買う「タイミング投資」(長期では統計的にほぼ負ける)
- ❌ 個別株に偏った集中投資
- ❌ 毎日値動きをチェックして感情的に動く
👉 正解は「積立×放置」。定額で淡々と積み立て、相場を気にせず継続することが、長期では最も高いリターンをもたらします。忙しい医師にとって「何もしないことが最善」という戦略は、時間的にも精神的にも最適解です。

iDeCo:高所得勤務医ほど効く”節税装置”
節税インパクトを数字で確認する
iDeCo最大のメリットは、掛金の全額が所得控除になる点です。新NISAにはこの機能がありません。高所得であるほど適用される税率が高くなるため、勤務医にとってiDeCoの節税効果は特に大きくなります。
年収1500万円の勤務医の場合、所得税+住民税の実効税率はおよそ33〜43%(個人差あり)になります。iDeCoの掛金は月2万3000円、年間で27万6000円。この全額が所得控除として認められます。
- iDeCo掛金:年27.6万円 × 税率35%前後 = 約9〜10万円の節税/年
- 30年継続すると節税だけで 約300万円の確定リターン
👉 この節税額は投資の成否に関係なく確定で得られる利益です。厳密には「税金の繰延+圧縮」という性質ですが、高所得者にとっては「ノーリスクに近い確定リターン」と理解してよいでしょう。
👉 保険料の最適化と組み合わせることで、節税効果はさらに高まります:勤務医に本当に必要な保険5選|9割の人が入りすぎ
iDeCoの落とし穴:知らないと損する3つの注意点
節税効果が魅力的なiDeCoですが、盲点もあります。始める前に必ず理解しておきましょう。
① 流動性ゼロ:60歳まで絶対に引き出せない
iDeCoは「老後資金専用口座」です。急病・育児費用・住宅購入など、どんな緊急事態でも60歳まで解約・引き出しは原則不可(一部例外あり)。特に怖いのが、「教育費のピーク」と「iDeCoのロック期間」が重なるケースです。子どもが大学に進学する時期と、自分の掛金が引き出せない期間が重なると、資金計画が行き詰まる可能性があります。無理のない掛金設定が最重要です。
② 受取時に課税される(誤解が多い)
「非課税口座なのに受け取り時に税金がかかるの?」と驚く人も多いのですが、iDeCoは掛金拠出時に所得控除 → 受け取り時に課税という仕組みです。一時金受け取りなら退職所得控除、年金受け取りなら公的年金等控除が使えるため、「大きく損するわけではない」ものの、設計しないと思わぬ課税が発生することも。受け取り方は事前にシミュレーションしておきましょう。
③ 退職金との干渉に要注意
医師は病院からの退職金が出るケースもあります。iDeCoを一時金で受け取る場合、退職金と同じ年に受け取ると退職所得控除の枠を食い合う可能性があります。対策としては、受け取り時期をズラす・分割受け取りを検討するなどが有効です。受け取り設計は退職年・退職金額・他の収入を踏まえてファイナンシャルプランナーや税理士に相談することをおすすめします。
投資先:結論はシンプル
忙しい医師の最適解は「全世界株 or S&P500 一本」
「どの投資信託を選べばいいか?」という質問をよく受けます。僕の答えはシンプルです。
- ✔ eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):通称「オルカン」。全世界約3000銘柄に分散投資。信託報酬0.05775%(業界最低水準)。
- ✔ eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):米国大型株500社に集中投資。過去の長期リターンは年平均7〜10%。
どちらも低コスト・高分散・長期実績ありの優秀なインデックスファンドです。医師向けに合理的な理由を整理すると、「時間がない」「個別企業の情報戦に参加できない」「ミス=機会損失が大きい」という3点が挙げられます。
👉 だからこそ、「平均点を取り続ける戦略」が最強なのです。市場平均に乗り続けることで、個別判断のリスクを排除しながら複利の恩恵を最大化できます。
実践ポートフォリオ(再現性重視)
- 新NISA(つみたて投資枠+成長投資枠):月10〜30万円(オルカン or S&P500)
- iDeCo:月2.3万円(同系統のインデックスファンド)
👉 全口座を同じ商品で統一するのがおすすめです。管理コストが最小になり、判断ミスが減り、継続しやすくなります。「難しいことを考えなくていい」という精神的な安心感も、長期継続には非常に重要です。

実際の始め方:証券口座の選び方と手順
ネット証券3社の比較
新NISAもiDeCoも、口座を開設する証券会社は重要です。手数料・ファンドラインナップ・使いやすさで選びましょう。
| 証券会社 | NISAファンド数 | iDeCo手数料 | 使いやすさ | おすすめポイント |
|---|---|---|---|---|
| SBI証券 | 業界最多級 | 無料(国民年金基金連合会分除く) | ◎ | ファンド数最多・iDeCo対応も充実 |
| 楽天証券 | 多い | 無料 | ◎ | 楽天ポイント連携・UIが直感的 |
| マネックス証券 | 多い | 無料 | ○ | iDeCoのファンドラインナップが充実 |
行動ステップ
- Step1:SBI証券 or 楽天証券でネット口座開設(10〜20分・マイナンバー必要)
- Step2:NISA口座を最優先で開設・積立設定(税務署確認に1〜2週間)
- Step3:余裕が出てきたらiDeCoの手続きへ(勤務先の事業主証明書が必要)
👉 完璧を目指さなくていい。「今日始める人」が勝ちます。iDeCoは勤務先への書類依頼から開始まで2〜3ヶ月かかることもあるため、思い立ったら早めに動き出すことをおすすめします。

医師パパとしてのリアルな話
正直に話します。
僕が資産形成を本格的に始めたのは26歳のとき。最初に開いたのはSBI証券のNISA口座(旧つみたてNISA)で、月3.3万円の積み立てが精一杯でした。それでも「始めた」という事実が、その後の継続につながっています。
iDeCoを開始したのは27歳。勤務先の事務に「事業主証明書って何ですか?」と聞くところからのスタートでしたが、手続きは思ったよりスムーズに終わりました(2〜3ヶ月はかかりましたが)。
現在は0歳の子供が生まれ、教育費や住宅購入も視野に入ってきています。流動性の重要さを改めて実感しているため、今の結論は「NISAを最大化しつつ、iDeCoは無理なく継続」です。将来のキャッシュ需要が読みにくい今だからこそ、新NISAの自由度が安心感につながっています。
👉 大事なのは「完璧な状態で始めること」より、「今すぐ始めること」。少額でも、早く始めた人が長期的に勝ちます。
まとめ:勤務医の新NISA×iDeCo最適戦略
- 👉 優先順位は「新NISA → iDeCo」の順が原則
- 👉 新NISAは“自由”な非課税口座。年360万円・生涯1800万円をフル活用することを目指す
- 👉 iDeCoは“節税特化”の老後資金口座。高所得勤務医ほど節税効果が大きい
- 👉 ただし流動性リスク(60歳まで引き出し不可)は軽視しない
- 👉 投資先はオルカン or S&P500 一本でシンプルに統一するのが最強
- 👉 口座開設はSBI証券・楽天証券・マネックス証券がおすすめ
- 👉 最重要は「今すぐ始めること」——複利は時間が武器になる
資産形成は、早く始めれば始めるほど複利の力が働きます。医師としてのキャリアを積みながら、お金にも働いてもらう仕組みをつくること——それが将来の選択肢を広げる最短ルートです。難しく考えなくていい。制度を理解して、あとは積み立てて放置するだけ。この記事が、一歩踏み出すきっかけになれば嬉しいです。
執筆:Dr.はると(呼吸器内科専門医・0歳児の父)
医師×資産形成×育児をテーマに発信中
※本記事は一般的な情報提供です。個別の資産運用については金融のプロにご相談ください。
